〜実験・発見・創造〜

で、わたしは広島で生まれ育ったわけですが、市内中心部で、すぐ近くには平和公園があります。わたしが生まれたときには既に街は美しく整備され、木々の緑もたくさんありました。わたしたちはそこを駆け回り、川ではボート遊びをしました。でも、その足下にはかつて、原爆による多くの犠牲者のかわりはてた姿があったのです。「空は汚れている」と言うけれど、平和公園から見上げる空はいつもきれいです。原爆投下のときに空から見下ろした街はどうだったでしょう。おもちゃのように、テレビゲームの仮想空間のようにみえたのかもしれません。そこに暮らす人々の表情も声も知ることなどできなかったはずです。少しでも知ることができていれば、投下などできるとは思えません。
数えきれないの人々の希望やささやかな幸せを犠牲にしながら、わたしたち人間は、まだ戦争を世界からなくすことができずにいます。慰霊碑の「安らかに眠って下さい/過ちは繰返しませぬから」という約束を果たせずにいるのです。


わたしが通っていた小学校に平和資料館ができています。そこに心から離れない1枚の写真があります。教室の授業風景です。こどもたちが席について板書する先生の方を見ています。でも、その教室の窓枠は爆風のために歪み今にも落ちそうになっているのです。原爆投下から10ヶ月たって再開された授業風景。そこに写ったこどもたちは心にも体にも深い傷を負っていたはずです。でも、しっかりと未来をみつめ、いまをたくましく生きていたのです。
「社会が悪い」「政治家が悪い」と言うだけならいくらでもできます。今年わたしたちはこどもたちと一歩、踏み出してみたいと思います。